「証拠金維持率」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
そのため、今回は
証拠金維持率について、例を交えながら徹底解説!
FXで損をしないためにも、必ずコレを理解してからFXを始めましょう。
目次
1.証拠金維持率とは?ロスカットも一緒に詳しく解説!
そもそも証拠金とは?
FXの「証拠金」とは、取引を行うためにFXの口座に預け入れる取引資金のことです。
それに対し「必要証拠金」とは、実際に取引を行うときに最低限必要な資金のことを指します。
(例1)
〈証拠金〉
銀行預金1,000,000円→FX口座へ500,000円振込→500,000が「証拠金」合計額
〈必要証拠金〉
ドル円100円、レバレッジ10倍で1万単位の取引((100×10,000)÷10=100,000円)
→100,000円が「必要証拠金」
FXは、売買の度に元本が動くわけではなく、損益の増減が元本に反映される仕組みで、元本が変動する株式や投資信託とは異なります。
その代わりに、レバレッジをかけるための一定の元本が必要になります。
例を使って、株とFXの違いを詳しく説明します。
(例1)
株式の場合
1月4日 A商事 株価:1000円 100株購入
必要元本: 10万円
↓
2月4日 A商事 株価:500円 100株売却
元本合計: 500円 × 100株 = 5万円
FXの場合
1月4日 ドル円:100円 レバレッジ:10倍 1万単位の買い
必要証拠金: 10万円 100万円分の取引
↓
2月4日 ドル円:95円 レバレッジ:10倍 1万単位の売り
損失: 5万円
証拠金合計: 10万円 − 5万円 = 5万円
この仕組みで考えると、
株は株価が0円にならない限り、元本が0円になることはありません。
しかし、FXは容易に0円になります。
今回の例の場合、ドル円が90円になった時点で損失が10万円になるので、「証拠金10万円 – 損失10万円 = 0円」となります。
このように、FXは元本が0円になるリスクを考えながら取引する必要があります。
そんな投資家のために、FX会社は投資家の元本を守る「証拠金維持率」を設定しています。
証拠金維持率とは?
証拠金は、資産を守るための非常に大切な仕組なので、必ず理解しましょう。
「証拠金維持率」とは、総純資産に対する証拠金の割合のことを指します。
「純資産 ÷ 証拠金 × 100(%)」で表されます。
基本的に、証拠金維持率はレバレッジが高いほど低くなります。
(表1)
ドル円100円、10,000通貨の取引
証拠金合計: 100万円
レバレッジ | 証拠金率 |
1倍 | 100%(=1,000,000÷1,000,000×100) |
2倍 | 200%(=1,000,000÷500,000×100) |
5倍 | 500%(=1,000,000÷200,000×100) |
10倍 | 1,000%(=1,000,000÷100,000×100) |
15倍 | 1500%(=1,000,000÷66,666×100) |
25倍 | 2500%(=1,000,000÷1,000,000×100) |
基本的には、証拠金維持率を300%以上にするのが安全と言われています。
証拠金維持率は初期設定が50%か100%が多いですが、ご自身で設定することが可能です。
ご自身の資金に合わせて、レバレッジと証拠金維持率は変更していきましょう!
ロスカットとは?
では、証拠金維持率を割ったらどうなるのでしょうか?
証拠金維持率を100%に設定していた場合、判定時に100%を割ると「ロスカット」により取引が強制終了してしまいます!
「ロスカット」とは、未確定の損失(含み損)が一定の基準に達した時に自動的に強制決済される仕組みのことです。
強制的に取引が終了してしまうので、初心者の方は「もうちょっと待ってたら上がってたのに!勝手に取引終了された!」と思うかもしれません。
しかし、ロスカットは皆様の資産を守るためにとても重要な仕組みなんです。
「今下がって損失が出てるけど、もうちょっと待てば上がるはず…」と思い、ポジションを持ち続けることでどんどん損失が拡大し、結果的に取返しのつかない損失に…
これは投資家の心理としてよくあることで、ポジションを持つと「正常な損切り」が出来ないのです。
ロスカットは、投資家の損失が拡大し不足金が発生しないため、つまり「投資家を守るための制度」ということです。
しかし、ロスカットが発動するタイミングはもうかなり損失が拡大しているときなので、投資家の皆様は正常な損切りのラインをご自身でしっかり設けましょう。
証拠金維持率とロスカットの関係は?
証拠金維持率のラインまで来ると強制的にロスカットが行われ、ポジションが閉じられてしまいます。
下記は実際に証拠金維持率まで下落した時の例です。
(例2)
1月4日 ドル円:100円 レバレッジ:10倍 1万単位の買い
必要証拠金: 10万円 100万円分の取引
総資産: 15万円 証拠金維持率: 50% 現在の証拠金割合: 15万÷10万=150%
↓
1月15日 ドル円:90円 レバレッジ:10倍 1万単位の売り
損失: 10万円 総資産合計: 15万円 − 10万円 = 5万円
証拠金維持率:5万円 ÷ 10万円 = 50%
証拠金維持率 50%に達したため、ロスカットとなります。
この例を用いて、もう一つ例を挙げます。次の例は同じ証拠金維持率で、レバレッジがより高い場合です。
(例3)
1月4日 ドル円:100円 レバレッジ:25倍 1万単位の買い
必要証拠金: 4万円 100万円分の取引
総資産: 6万円 証拠金維持率: 50% 現在の証拠金割合: 6万÷4万=150%
↓
1月10日 ドル円:96円 レバレッジ:25倍 1万単位の売り
損失: 4万円 総資産合計: 6万円 − 4万円 = 2万円
証拠金維持率: 2万円 ÷ 4万円 = 50%
証拠金維持率 50%に達したため、ロスカットとなります。
(例2)と(例3)を比較してみましょう。
取引を始めた時点での証拠金維持率は150%で等しく、レバレッジが10倍と25倍で異なります。
(例2)の場合、ドル円が90円まで下落すると証拠金維持率が50%になりますが、(例3)の場合はドル円が96円に下落した時点で証拠金維持率が50%になりロスカットが行われるので、同じ証拠金維持率でもレバレッジが異なるだけで、下落耐性が6円も異なります。
この比較からわかることは、「レバレッジは高い方が証拠金維持率の下落率も高い」ということ。
FX初心者の方にとって、レバレッジを高く設定しすぎて自身の余剰資金がすぐに底を尽きてしまうミスは陥りやすく、一番に注意すべき点です。
ロスカットのラインはFX運営会社が定めている最低ラインの損切ポイントなので、FX初心者はまず証拠金維持率を300%切らないことを意識してトレードを行いましょう!
証拠金維持率を下回ることもあるの?
基本的には、証拠金維持率のラインまで来た時点でロスカットが行われるため、マイナスになることはありません。
しかし、過去には急な相場変動によりロスカットが間に合わず、マイナスになってしまった事例があります。
2008年10月の「リーマンショック」では、1日でドル円98円台から90円台までの急激な円高が起こりました。
また、2015年1月の「スイスフランショック」では為替方針の突如廃止により、一時は31%の急落となりました。
この時、FX運営会社は顧客のロスカットを一斉に行いますが、あまりの急落によりシステムの都合上、証拠金維持率を下回るラインまで下落してしまうことがあります。
証拠金維持率を下回ってしまった場合、どうなるでしょうか?
「追加保証金が必要になる」
追加保証金(FX業界では「追証(おいしょう)と略されることが多い)とは、保証金を担保として行う取引の場合、維持率を下回った分だけ追加で入金する必要がある証拠金のことです。
追証を支払わないためにも、適切なレバレッジで証拠金維持率を守るようにしましょう!
2.ロスカットされないためには?
証拠金維持率まで下落すると強制ロスカットが行われます。
しかし、強制ロスカットはFX初心者が陥りやすく、プロのFX投資家は証拠金維持率まで下落することはほとんどありません。
では、証拠金維持率まで下落しないためには何をすればよいのでしょう?
以下の3つのポイントに注意することが重要です。
- レバレッジを低く設定する
- 証拠金維持率を300%以上でキープする
- 損切りラインを必ず守る
全てかなり大切なポイントなので、説明していきます!
レバレッジを低く設定する
先ほどの(例2)と(例3)で比較した通り、レバレッジを高くすることは証拠金維持率の下落率を高めます。
これを防ぐためにも、レバレッジは低く設定しましょう。
「レバレッジ25倍じゃないと必要証拠金が足りない!」という人はそもそもFXをやるための資金が足りていません。
FXは生活の余剰資金で行うもの。
高いレバレッジをかけて生活資金を獲得するものではありません。
皆様の大切なお金をあっという間になくさないためにも、レバレッジが5倍程度でも十分に証拠金維持率を守ることが出来る人のみ、FXに挑戦しましょう。
証拠金維持率を300%以上でキープする
証拠金維持率50%というのは、FX運営会社がロスカットのために設ける最低ラインです。
通常はこのラインまで下落する前に、ご自身で損切リを行うのが好ましいです。
証拠金維持率は300%以上が安全で好ましいといわれています。
1つの目安として、「証拠金維持率は300%以上」ということを念頭に置いてトレードを行いましょう。
損切りラインを必ず守る
損切りラインを守る、これ実はFX初心者よりもFXに少し慣れてきた中級者の方が守れていないことが多いです。
FX初心者は、いたるサイトで「損切りラインを守る!」ということを注意されるため、意識することが出来ています。
しかし、少しFXに慣れてきた中級者の人たちはどうでしょう?
「今下がってるけど、もう少ししたら絶対上がる!前と同じ動きしてるし!もうすぐ損切りラインを切りそうだけど、すこしだけ損切りラインを下げよう。」
FX中級者は、自身の損切りラインを割った直後に急騰した経験があるはず。
この事例を経験すると、損切りラインを守ることが出来なくなる傾向にあります。
損切りラインを下げた時に限ってどんどん為替は下落するもの。
損切りラインを守らないことは、基本的にマイナスの拡大にしか繋がりません。
なので、FX初心者に限らず少し慣れてきた人も「損切りラインを必ず守る」ということを徹底しましょう!
3.まとめ
証拠金維持率について解説いたしました。
いわばセーフティーネットのような効果を有するロスカットは、FXで損失を出さないために必要な仕組みです。
このために、証拠金維持率を割らないための3つのルールを徹底しながら、末永くFXでのトレードを楽しみましょう!