今回は、FXにおける「テクニカル分析」について解説していきます。
テクニカル分析は、投資初心者から中級者にステップアップするために重要な分析の1つで、テクニカル分析を理解することでしっかりと根拠を持ったトレードが出来るようになります。
更にテクニカル分析の中でも「トレンド系」と呼ばれる2つの手法を紹介するので、「FXで利益を生みたい!」という人は絶対に理解し、実戦で活用していきましょう!
目次
テクニカル分析について
テクニカル分析とは?
テクニカル分析とは、過去の為替の動きをチャートで表し、チャートから一定のトレンドやパターンを作り、今後の動きに当てはめて為替動向を予想するものです。
簡単に言うと「チャートを見て投資のタイミングを探る」ということです。
たしかに、短期的なチャートは不規則に動いているように見え「FXは上か下かに行くか、二択の運ゲー」と思われがちです。
しかし過去のチャートを見ると、為替の動きには一定のトレンドがあり、異なるタイミングでも同じような動きを見つけることが出来ます。
例として、1つ代表的なテクニカル分析を紹介します。
こちらは「ボリンジャーバンド」と呼ばれるテクニカル分析で、約96%の確率で水色の線に収まるため「上の青い線に触れたら売り、下の青い線に触れたら買いのタイミング」と判断できます。
(のちほど、より詳しく解説いたします!)
このようにテクニカル分析を使うことで、根拠を持ったトレードが可能になり「なんとなく上がりそう(下がりそう)!」という運任せなトレードよりも、勝率を上げることが出来るでしょう。
ファンダメンタルズ分析とは?
テクニカル分析と相対する分析方法に「ファンダメンタルズ分析」というものがあります。
ファンダメンタルズ分析とは、経済状況や経済指標、金融政策から政治などの定性的な情報を用いて、今後の値動きを予想します。
ファンダメンタルズ分析に最も活用されるのは「金利動向」です。
例えば、米国のFRB(「連邦準備制度理事会」、日本でいう日本銀行)によるFOMC(日本でいう「金融政策決定会合」、米国の金融政策を決定する会合のこと)において、インフレ率を抑制するために金利を上昇させる政策を発表したとします。
米金利の上昇はそのドルの価値上昇、つまり「ドル高」に繋がり、ドルの価値が上がる「ドル高」の場合、円の価値は相対的に安くなるので「円安」となります。「ドル高円安」の完成です。
「金利上昇によって貨幣価値が上がるのっていうのが意味わからない!」という人に向けてもう少し詳しく説明します。
金利は「銀行に1年間預けた時の利子」と考えていただきます。所持金100万円でアメリカの金利が1%、日本の金利も1%だとすると、どちらに預けていても「1年間の利子は1万円」で変わらないので、貨幣価値は等しいと考えられます。
しかし、アメリカが「金利を5%に上昇させます!」と発表したらどうなるでしょうか?
「アメリカの銀行に100万円預けたら1年間で5万円の利子が付くんだ!日本に預けるより良いじゃん!円売ってドル買お!」となると思いませんか?
このような事態が発生するので、金利の上昇は貨幣価値が上がるのです。
2022年にアメリカは金利を約4%上昇させました。この結果、大幅なドル高円安が進み、ドル円は約40円上昇しました。
このように、経済指標や政府の決定などの情報を用いる分析方法が「ファンダメンタルズ分析」です。
テクニカル分析とファンダメンタルズ分析、どっちのほうが良いの?
ここまで説明してきました「テクニカル分析」と「ファンダメンタルズ分析」、結局どちらのほうが優れているのでしょうか?
結論「両社に優劣はない!両方を使うのがベスト!」と考えています。
実際、上級者トレーダーの方々はマーケットに合わせて臨機応変に使い分けていたり、自身のスタイルにマッチした手法にこだわって取引を行う人もいます。
FXを始めたばかりの人が、「テクニカル分析」と「ファンダメンタルズ分析」を両方使うのは難しいと思うので、まずはどちらか一方から始めてみるようにしましょう。
メリット・デメリット
今回は「テクニカル分析」に絞って解説していくので、メリットとデメリットをそれぞれ解説していきます。
メリット
- 経済への知識が必要ない
- 相場の動きを視覚的に把握できる
1.経済への知識が必要ない
経済への知識は非常に膨大で他のプロ投資家や機関投資家に追い付くには何年もの勉強が必要になります。また、情報量にも圧倒的な差があり、その差を埋めることは非常に困難です。
一方、テクニカル分析は過去のチャートの動きをトレンドとして捉えるため、経済への知識は必要がなく、個人の投資家でも分析を始めやすいといえます。
2.相場への動きを視覚的に把握できる
チャートは値動き、つまり投資対象の需給をグラフに表したものです。その動きを視覚的に把握することで、相場全体の流れや傾向を掴むことが出来ます。
実際、ファンダメンタルズのみでは断片的な情報として捉えられることが多く、流れを掴むことは難しいです。テクニカル分析を使って、相場や需給の流れを把握するようにしましょう。
デメリット
- 過去のパターンと一致しないことがある
- 突発的な情報には対応できない
1.過去のパターンと一致しないことがある
テクニカル分析は過去の相場の動きを基にトレンドを把握し、今後も同じようにトレンドが動くという想定で値動きを予想します。
しかしチャートはいつ何時も同じトレンドのもとに動くわけではありません。むしろトレンドの想定通りに動かないことの方が多いです。
「じゃあなんでテクニカル分析をする必要があるの?」と思われるかもしれません。
確かにテクニカル分析に基づいた予想が外れることは大いにあります。その場合は、すぐに損切することで利益を最小限に抑えましょう。
逆に予想通りの値動きになったときはどうなるでしょうか?
この時はかなり大きな利益を狙うことが出来ます。
テクニカル分析の強みは予想が的中した時に、しっかり根拠に基づいた大きな利益を獲得できることなんです。
この点を理解していただくことで、初めてテクニカル分析に意義を見出せるようになります。
2.突発的な情報には対応できない
テクニカル分析は過去のトレンドに基づいているため、最新の突発的な情報には対応できません。
これに対処する方法は2つあり、1つ目は「FOMCや金融政策決定会合など、重要な会合の際には取引を行わない」、2つ目は「ファンダメンタルズ分析も一緒に行う」ということです。
先述しましたが、金利の動向などは為替に大きな影響を与えますが、テクニカル分析ではファンダメンタルズには対応できません。このため、いっそ重要な会合時は取引を辞めることで損失の発生を抑えることが出来ます。
「重要な会合時も利益を狙っていきたい!」という人はファンダメンタルズ分析も始めてみましょう。テクニカル分析とファンダメンタルズ分析の両方が出来る個人投資家はそう多くないため、かなり相場に強くなります。
テクニカル分析の「トレンド系」とは?
テクニカル分析は「トレンド系」と「オシレーター系」があり、簡単にいうと「トレンド系は相場の流れを基に行う」分析で、「オシレーター系は割高、割安の判断を基に行う」分析です。
トレンド系、オシレーター系の中にも色々な種類があり、一回の記事では全てまとめられないため、今回はトレンド系の代表的な2つの手法に絞って解説していきます。
- 移動平均線
- ボリンジャーバンド
1.移動平均線
「移動平均線」とは、一定期間の価格の終値の平均を結んだ折れ線グラフで、よく使われるのは「単純移動平均線(SMA)」です。
その他にも「指数円滑移動平均線(EMA )や「加重移動平均線(WMA)」があり、移動平均線よりも値動きに敏感に反応するので売買シグナルが出やすく、短期的な売買に向いていると言われています。
今回は始めやすい「単純移動平均線(SMA)」に絞って解説します。
今回、こちらの3つの線が移動平均線です。
青線は25日移動平均線(短期)、黄緑色は50日移動平均線(中期)、赤色は200日移動平均線を表しています。これらを用いて投資判断を行います。中でも移動平均線で売買タイミングを判断するサインは「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」を用いることが多いです。
「ゴールデンクロス」とは、短期・中期移動平均線が中期・長期移動平均線を下から上にクロスしたタイミングを「買いのタイミング」と判断するシグナルです。
こちらは2021年3月に短期と中期移動平均線が長期移動平均線を下からクロスした時です。実際にこのタイミングの後は、かなり為替が上昇していますね。このタイミングが「買いのタイミング」を示す「ゴールデンクロス」です。
もう一つの「デッドクロス」は短期・中期移動平均線が中期・長期移動平均線を上から下にクロスしたタイミングを「売りのタイミング」と判断するシグナルです。
今回は短期移動平均線が中期移動平均線を上から下にクロスした「売り」のタイミングです。実際にこの後は約10円ほど下げていますね(2022年度末の為替介入、YCC修正のため)。このクロスを「デッドクロス」と言います。
クロスのタイミングでしっかりトレードを行えばかなり大きなpipsを獲得できていましたね。しかし、テクニカル分析のデメリットでも紹介したように、絶対にこのように動くということは断定できないので、あくまで1つのタイミングの指標として認識しておくようにしましょう。
2.ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドとは、移動平均線と上下2本ずつの標準偏差からなる計5本の線で表されます。
今回のチャートでは一本の線しか表示していませんが、この線は±2σを表し、この間の中に価格は収まると想定しながら、将来の価格を予想します。
「±2σ」と言われてもよくわからないと思いますが、これは統計学上の専門的な知識でまったく理解する必要はなく、ボリンジャーバンドは簡単に「上下の線の間に約96%の確率で収まる」と考えていただければOKです。
実際、上記のチャートではかなり綺麗に収まっていますよね?時々約96%の確率からはみ出る時がありますが、基本的にはずっと収まっています。
ボリンジャーバンドの活用方法は「上の線にタッチした時が売りのタイミング、下の線にタッチした時が買いのタイミング」と判断します。見たら一目瞭然なので、初心者の人でも始めやすい手法の1つです。
まとめ
今回は「テクニカル分析」について、なかでも「トレンド系」の手法を2つまとめました。
テクニカル分析はチャートを活用するので、経済や政治について詳しくなくても問題なく行える分析です。
チャートの画面から簡単に設定することが出来るので、まずは設定して見慣れることから始めてみましょう!